牡丹を植えた

花王とも言われ、古来から愛でられてきた牡丹。花言葉は「風格」「富貴」。 木本で寿命も長いようなので50年続く趣味として牡丹を育て始めた。

きっかけは、ふと「牡丹って育てられるのかな」と思ったとき。

庭園などに行くと威風堂々と仕立てられた牡丹がある。 色艶やか、手の平大に咲き誇るその花には花王の二つ名に納得せざるを得ない。 これは実物を観るとよく分かる。

牡丹も芍薬も親戚だが、立てば芍薬座れば牡丹というように、芍薬は草本の多年草で背が高い。 牡丹は木本で株立ちするので横に広がる。 木なので牡丹は寿命は長く、軽く50年は生きるし中には齢400年を数える固体もあるらしい。 ならば生涯かけてゆっくりとした成長を見守れそうだ。

気に入ったので牡丹について調べてみたら意外と育てられそうだった。 牡丹はそれこそ高嶺の花と思っていたが、最近は技術の進歩で庶民でも手が届くらしい。 加えて牡丹は灌木の類で、せいぜい2mくらいにしか育たない。 ならばベランダでも育てられそうだ。 少し物色して、若干逡巡したが結局2鉢買うことにした。

買うと決めたのが9月頃、牡丹の鉢が出荷されるのが10月に入ってからなので手中に収めるまで時間があった。 そこで色々調べて予備知識を仕込んでおいた。

市中に出回っている牡丹は十中八九芍薬台に牡丹を接いだもの。 牡丹は挿し木では増えず、芍薬の根に牡丹の枝を挿して増やすらしい。 実生はできないことはないが、成長が遅いので時間かかる。 実生が容易な芍薬なら株を簡単に増やせるので量産が可能になる。 これが発明されたのが戦後なので牡丹が手頃になったのもここ最近らしい。

となると此度私の手元にくるのも芍薬台の紛い物の牡丹という訳だ。 芍薬が多年草とはいえ寿命は高が知れてるだろう。早々に種を取って気長に実生でもするかと思ったが、そうではないらしい。 芍薬台で数年生かすと土中で牡丹の根が張って、最後は完全に牡丹の株になると書いてあった。 普通、接ぎ木するときは強い根を使って弱い穂を助けるが、牡丹と芍薬はその逆のようだ。 芍薬の根で牡丹を支えつつ、成長の遅い牡丹の根が張るのを待つということだろうか。

そんな訳で、普通なら穂木の弱い根が伸びないように接ぎ目を地上に出すところを、芍薬台の牡丹を植え付けるときは接ぎ目を土中に埋めてしまう。 さらに接ぎ目の少し上を針金で圧迫しておくと、成長するにつれて針金に身が被さり、そこから根が生えるという手法もあるようだ。 加えて台の芍薬も腐り落ちるし針金も土中で腐敗するのですぐに牡丹の株に入れ替わる。 流石にそこまでしなくてもいいかなと思って今回はやらないことにした。

さて、台風で若干遅延もあったが、手元に株が届いた。 太陽と品種は島根長寿楽。選んだ理由は真紅と紫苑の色が好きだったから。

届いた株

届いたときは生体が入っているとは思えないくらい軽装だったが特に崩れた様子はなかった。

段ボール内1

段ボール内2

こいつらは3年株と呼ばれ、芍薬に接いで3年経ったもの。来春には花が咲くらしい。 流通の関係で土が落されていることが多いと聞いたが、ビニル鉢に土が入って届いた。 ビニル鉢は6号サイズ。

これを見栄えのする素焼きの鉢に植え替える。牡丹は植え替えを嫌うとあるが、流石に最初は必要だろう。 8号の鉢に入れる。

植える前

底に石を敷いてあるが、結局鉢の高さが足りずに石を取り出してしまった。 根は浅いと聞いたので足りるかと思ったが目論見が外れた。

結果、このように植わわった。

植えた後

素人目に接ぎ目がどこにあるのか分からず、元の高さまで土をかけておいた。 家に届いたときにはある程度牡丹の根が張ってあったものと思っているが、真偽は知らず。

来春には花が咲くが、初年は根を張らせるために花は摘んで根に栄養を回す人もいるようだ。 とはいえ来年を話をすると鬼が笑うので目先は今冬を越えることを目標に世話していきたい。

κeen Written by:

エンジニア